2019年7月3日 掲載
井上真大君の研究成果を Web Science に関する国際会議 ACM Conference on Web Science で発表しました.
井上君の論文は “Temporal Analysis of Supply and Demand of Topics on The Web” というタイトルで,Web 上の情報の需要と供給の時間的関係を分析した結果に関するものです.Web 上の情報には,先に世の中に需要が生じ,それに応じて供給が生じるものと,反対に先に供給があり,その後,需要が生じるものがあります.井上君の研究では,ある情報への需要が生じたタイミングを,検索エンジンにおいてその情報に関する検索が増加したタイミングに基づいて推定し,ある情報への供給が生じたタイミングを,その情報を含む Web ページの出現のタイイングに基づいて推定します.これらの推定結果を使って,Web 上での情報には,需要と供給の間にどのような時間的関係があるものが,どのような割合で見られるかについての分析を行っています.
ACM Web Science という会議は,何か新しい技術を提案するというよりは,Web 上での人々の行動の分析,あるいは,それを通じた社会一般での人々の行動の分析を行っているような研究も重要なテーマになっている会議です.しかし,今回,会議に参加して感じましたが,現在の米国の研究者の関心事は,圧倒的に fake news の問題のようです.米国では日本よりはるかに深刻な問題と捉えられている様子がうかがえます.井上君の研究発表に対しても,「ある情報の需要と供給の時間的なタイミングの分析は,fake news の判定にも使えないか?」という質問が複数の人からあがりました.
今回の会場は,Boston にある Northeastern University です.
窓から遠くにMITのドームが見えます.
会議最終日の翌日がアメリカの独立記念日の7月4日でした.アメリカでは7月4日には多くの都市で独立記念日のイベントがあり,たくさんの花火が打ち上げられます.Boston はアメリカ建国の歴史において重要な都市なので,Boston でも大規模な花火があることで有名です.